地元の酒蔵、ワイナリーとタッグを組み新しいおいしさの珍味が誕生
有限会社 西沢珍味販売
代表取締役 永野 富士夫 氏
固定概念をなくしワンランク上のおつまみへ
1976年創業の西沢珍味販売。珍味の袋詰および卸売業としてスタートしたが、「卸売だけでは先が厳しい。オリジナル商品を作れないか」と創業10年目頃から商品開発の模索を始めた。折よく、同じ上越市内にある田中酒造の専務(当時)が「うちの商品を使ってみないか」と声を掛けてくれ、清酒を使った新しい珍味づくりが実現した。
「かつての珍味は、しょっぱくて硬いのが当たり前。その先入観を無くし、しっとりやわらかく、酒のほのかな風味を楽しめるワンランク上のおつまみを目指し、先代社長によって開発されました」と永野社長。田中酒造の清酒「能鷹」に調味料を加えた独自開発のたれに、エイヒレやタラなどの材料を漬け込む。1~2日熟成させ、最大限にたれを吸ったところで密封して仕上げる。工程のほとんどは手作業だという。
その約5年後、上越市の老舗ワイナリー、岩の原葡萄園とのコラボレーションも実現。魚に合う白ワインをベースに「たれ」を作り、風味豊かなワイン漬シリーズを作った。
ベテランの女性パート従業員の手作業で丁寧に加工された製品。一番人気は「清酒味付けえいひれ」。清酒漬とワイン漬を7~8種類ずつ展開する。
難航した販路開拓突破口となったのは
品質に自信はあった。しかしネット通販はおろかインターネットもまだ普及していない1990年代、店舗を持たない同社は販路探しに苦労した。突破口となったのはアンテナショップ「表参道・新潟館ネスパス」。ネスパスで取り扱いを始めるとすぐにバイヤーやメーカーの目に留まり、首都圏の高級スーパーとの取り引きにもつながった。
そしてネット通販の参入も早く2000年から「ニシザワチャンネル」を立ち上げた。「1,000円ぽっきり」や「メール便送料無料」などの企画をいち早く取り入れ、現在は売上の約4割をネット販売が占めている。
「清酒漬やワイン漬の珍味はお酒それぞれの個性を生かすことができますから、県外の酒蔵やワイナリーともっとコラボしてみたいですね。全国制覇が私の夢です」と永野社長。
コラボ商品の成功を機にオリジナル商品に新展開
コラボを機に卸売の珍味屋から、製造部隊を持つ「作れる珍味屋」へと変わった同社。現在は県外の酒蔵とのコラボ商品や、新たなオリジナル商品も手がけている。糸魚川漁港で水揚げされる南蛮エビを使った「素干南蛮えび」もその一つだ。地元では生で食べるのが常識の南蛮エビ。永野社長は東京での販売の見込みを伝え、干物工場の協力を取り付けた。
「珍味とはつまり、他にはない新しい味。人々が知らない味をもっと開発したい。『新しい味の追求』が私たちの仕事です」と永野社長。今後の新展開が楽しみだ。
鮮やかな赤色は新鮮さの証。生で食べられる南蛮エビを水揚げ後すばやく熱風乾燥し、甘みとうま味を閉じ込めた。
POINT
- 他業種とのコラボが業界の常識にとらわれない商品を生み出す
- 販路を確立し、一時的な企画商品ではなく定番化に成功
企業情報
“笑顔あふれる食文化の価値創造”
有限会社 西沢珍味販売
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