親しみやすい商品開発で物産展から人気を拡大
有限会社かんずり 代表取締役 東條 邦昭 氏
各地で定番販売されている妙高ならではの辛味調味料
雪に塩漬けした唐辛子をさらし、麹と共に3年熟成させて出来上がる辛味調味料「かんずり」。有限会社かんずりでは、この妙高地域の伝統食を昭和41年に商品化し、製造販売を手がけている。
当初は知る人ぞ知る存在だったものが、徐々に人気が定着。いまでは物産展へのオファーや、珍味やふるさとの味コーナーの定番商品としての取扱依頼が多く舞い込む。
物産展は年間10ヵ所くらいに出店。来るのを待っていてくれるファンも多いという。かんずりが妙高の地でしか作れない、他に類のない商品であるという存在感もあって、テレビや雑誌など、多くのメディアで取り上げられてきたことで、物産展での知名度も高い方だという。しかし、かつては購入に至るまでには多くのハードルがあった。「まずは、どうやって使ったらいいのか分からないという声でした」と、東條社長は話す。
物産展用に開発したかんずり漬けがヒット
食べ方が分からないという意見を受け、東條社長は「まずは親しみやすい商品で味を知ってもらおう」と、物産展用に「かんずり漬け」を考案。「味噌には味噌漬けがある。かんずりも何かを漬けたらいいんじゃないかという発想でした。山菜やスルメ、エノキ、シソの実などを漬けたものを商品化したところ、大当たりでした」。
最近では、酒盗で有名な食品メーカーと共同開発した「かんずり酒盗」が大ヒット。その動きを受けて、さまざまなメーカーからのコラボ依頼が多くなり、商品の種類も増えてきた。これらの動きは、物産展でのお客様への接客経験を、商品開発に反映させた成果といえるだろう。また、物産展を視察にきていたバイヤーから、食品売り場の定番品として扱いたいと依頼を受けることもよくあるという。
企業同士もつながれる物産展の会員組織
東條社長は平成15年から、新潟の物産・観光の催事を開催する「大新潟まつり実行委員会(約200社)」の会長も務めている。「会員企業には大企業から個人事業者まで、さまざまな規模の会社があります。物産展では、その会員同士が交流できる場であることも非常に重要で、実際、そこからコラボをして商売につなげている人たちもいます。NICOがバックアップしている団体でもあり、物産展を通した販路拡大を目指すなら、会員として参加いただければメリットを感じられると思います」。
今後のかんずりとしては、春には北陸新幹線が開業し、新しい交通体系のもとで打って出られるタイミングと語る東條社長。「北陸新幹線開業でモノや人の流れが変わります。こうした社会変化との相乗効果を考えて、今後も販路開拓や情報収集に役立ていきたいと思います」。戦略的に開拓を進める同社に注目だ。
「物産展ではお客様が“もっと辛いのはないの?”など、ストレートに話をしてくれる。その内容がとても貴重ですね」と語る東條社長。
妙高の冬の風物詩となっている唐辛子の雪さらし作業。大寒入りから春まで15回程繰り返す。唯一無二の味を生む象徴的な風景として、商品PRの際にも打ち出している。
5年前に新築した本店には各種かんずり製品が並ぶ。2階には研修室や製造工場の様子を、ガラス越しに見学することができる。
【企業情報】
有限会社かんずり http://kanzuri.com/
〒944-0023 妙高市西条438-1
TEL.0255-72-3813 FAX.0255-72-0344