明確なターゲット設定とコミュニケーションを重視。
糸魚川から世界基準の味を全国へ発信。
1927年の創業以来、地元に根差したお菓子づくりを続けてきたナカシマは、「大糸チーズ」などのヒット商品を持つ和洋菓子専門店。全国への販路開拓を目指して2019年SMTSに出展し、取引先のニーズに応える商品クオリティと提案力で着実な成果を上げている。

取締役 営業部長 中嶋康仁 氏
大量生産でも味と品質は絶対に妥協しないという中嶋代表。「お菓子はお腹ではなく心を満たすものなので、感動を与えないといけない。そのためには少し苦労をしてもいいので、味がぶれないような工夫をしています。年を重ねるごとに、厳選した素材を使った本物のお菓子を作りたいという思いが強くなってきました」。
卸売の売上拡大と成長のため多くのバイヤーが集まる展示会へ
糸魚川市内に2店舗を構えるナカシマは、和菓子・洋菓子・ケーキなど約100種類の商品を製造・販売する専門店。店舗以外にも製造工場を有し、品質を重視しながら大ロット生産にも対応できることが強みとなっている。
創業99年という歴史の中、会社の転機となった出来事が2つあるという。「1つ目が、3代目が始めたパンの移動販売です。店舗でお客様を待つ“受動的な商売”から、自ら動いて届ける“攻めの姿勢”へと、会社の意識が大きく転換しました。そして2つ目が、私が2011年に挑戦した“第10回キリ クリームチーズコンクール”で最優秀賞を受賞したこと。これがきっかけで全国へ販路を広げる武器を得ました」と話す4代目・シェフパティシエの中嶋代表。受賞商品の「ディープ・キューブ」は数百個単位だった製造数が、受賞後はコンビニへの納品で一気に数万個単位となり、製造オペレーションを大幅に変更。2004年に開発した「大糸チーズ」とともに、ナカシマの看板商品となった。
販路開拓の足掛かりはできたが、卸売の売上が課題だった。「卸売は葬儀や法要の式菓子が中心で、売上も限定的でした。卸売の売上を伸ばすために多くの企業とつながれる商談会に参加するようになりました」。2011年にはNICOの「新潟食の大商談会」に参加。さらに大規模な展示会を希望していたところ、2019年にSMTSへの出展が決まった。

大糸チーズ
修業先から帰郷した中嶋代表が初めて開発したスフレケーキ「大糸チーズ」は、年間20万個以上を生産。今の嗜好に合う味にリニューアルを続けている。

ディープ・キューブ
「ディープ・キューブ」はコンクール受賞を機に売上が上昇。コンビニへの納品実績から全国へ流通させていく夢が広がった。
1対1の信頼関係を築き最適な商品を提案する
「多くの商談会に参加してきましたが、これほど多くのバイヤーとつながることができる展示会は他にはありません。新規のお客様はもちろん、しばらく取引が止まっていたお客様との商流が再開することもあります」と営業担当の中嶋部長。出展を続けながら展示会での出会いを有効活用するノウハウを構築してきた。はじめは手探りでの参加だったが、近年の出展商品は「大糸チーズ」と「ディープ・キューブ」を柱に据え、冷凍でデリバリーできる洋菓子を厳選し、商談のターゲットは、小売・卸・カタログギフトの企業と明確に定めている。「出展当初は飲食店や中食からの引合いが多かったのですが、業務用大容量パッケージの要望に応えるには専用の資材や製造ラインが必要になります。新たなコストや在庫を発生させないためにも、今の体制で提供できる商品に絞っています」。
商談会場ではナカシマと取引を行うことで得られるプラス面や、仕事がしやすい会社だと印象づけることを重視している。その一環として、小売店に向けた「製品ご案内用HP」を自社で作成している。「商品紹介や製品規格書、販促に必要な画像、POPデータなどを掲載し、お客様が必要とするものをすぐに使っていただけるようにしています。こうした資料を準備した上で出展すれば問合せに素早く対応できますし、私たちの手間もはぶけます」。
当日の接客では「目の前のバイヤーと1対1の信頼関係を築くことが大切。バイヤーはそれぞれ欲しいものが違うため、お話を丁寧に伺い、いかに最適な商品を提案できるかが大事です」と、コミュニケーションに注力。会期中は商談用のシートに名刺、求めている商品、会話のメモをまとめ、出展後の御礼メールに役立てている。「見積りを求めている方には、出展後3日以内にフォローのメールを送ります。文章には現場で話していた事柄を差し込み、“あなたのことを覚えていますよ”と印象づけるようにしています」。さらに、ブースにはあらかじめ商談希望業種を掲示。「取引が難しい企業が分かることで、お互いに時間をロスしなくて済みます。洋菓子を作る企業は多いですが、専門店の味と品質を維持しながら、これだけの数量を作れるところは少ない。そこがニッチであり、当社のストロングポイントだと思っています」。

2019年の出展時はゴールを考えず名刺を配っていたというSMTS。2025年のブースでは商談を希望する業種の案内も掲示し、ターゲットを絞り丁寧なコミュニケーションをとるようにしている。

展示会ではチーズケーキ等のフローズンチルド製品を中心に試食・提案。焼菓子は競合が多いため、出展商品からは外している。


小売店に向けた「製品ご案内用HP」は、営業や販促に必要な商品資料、画像、POPなどを掲載し、顧客が自由にダウンロードできる。会場ではタブレットで見せながら商品の特徴をわかりやすく提示。

名刺やチラシ、リーフレットも自社で作成。情報発信にも力を入れている。
100周年にふさわしい商品、第2の大ヒット商品を作りたい
商談会・展示会への挑戦を始めてから売上は約3.5倍に増加し、確実に成果を上げている同社。近年はベンダー主催の商談会にも積極的に参加し、ベンダーのネットワークからスーパーや小売店への納入が決まることも多いという。「何度も商談を重ねて気付いたのは、商談する相手は企業の看板ではなく“人”だということ。その方の想いに寄り添い、最大限の提案をすることが最も大切だと学びました。今後も店舗での販売と卸売を軸とし、展示会で販路開拓を続けていきます」。
来年、創業100周年を迎えるナカシマ。「この100周年を“新たな創業”ととらえ、次の100年も商売を続けていける体制を作りたい。今は決して楽な時代ではないですが、それでも仕事は楽しくなければ意味がありません。100周年にふさわしい魅力的な商品を打ち出していきたいですし、大糸チーズに続く第2の大ヒット商品を開発し、もっと多くの人にナカシマのお菓子を楽しんでほしいと考えています」と中嶋代表。「糸魚川から発信する世界基準の味」を目指し、今後もさらなる販路開拓を進めてゆく。

多くの和洋菓子を取り揃えるナカシマ・糸魚川店。ディスプレイも工夫し、お菓子選びが楽しくなる雰囲気づくりを大切にしている。
企業情報
株式会社ナカシマ
糸魚川市横町5-12-72 [糸魚川店]
TEL.025-552-0117
URL https://okasi-nakasima.com/
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