株式会社良品計画 無印良品 直江津【日々のくらしの中に備えを。「いつものもしも」を軸に地域を支える商品やイベントを展開】

2025年10月14日
NICOpress202号販路開拓(国内)

日々のくらしの中に備えを。「いつものもしも」を軸に地域を支える商品やイベントを展開

地方の大型旗艦店として全国3位の売場面積を誇り、地域の活性化につながる活動に力を入れている無印良品 直江津。無印良品が考える防災「いつものもしも」を軸に、日常でも災害時でも使えることを考えた商品展開や防災イベントなどを通して、生活の延長線上にある防災を提案している。

総店長 加瀬紋子 氏
総店長 加瀬紋子 氏

人それぞれ暮らし方がある中で、防災に関しても必要になるものは違ってきます。お客様の話を聞きながら、その方に合わせた提案ができる企業でありたい。実際にレジに来たお客様からの「こんな商品はないの」という声や、今欲しいと思っている商品をお聞きし、商品開発や売場の集積に活かしています。(加瀬総店長)

日常使いができる商品をくらしの備えとして提案

無印良品 直江津は、地域の“くらしの真ん中”になることを目指し、2020年7月にオープン。地元の商品や食材の販売、朝市への出店や移動販売など、地域の活性化に向けて積極的に活動を続けてきた。「この5年間、地域の方々とのつながりを大切にしてきました。この7月には地域との“共創”をテーマに、多彩なイベントを企画した5周年祭を開催し、多くの方に来ていただきました」と加瀬総店長は話す。

無印良品では2011年から「いつものもしも」と題し、使い慣れた日用品を使って日常的に災害時に備えるための商品展開などのプログラムを実施している。「当店には5,000から6,000種類の商品がありますが、防災にしか使えない商品は1割にも満たないです。あくまでも、通常の商品として普段から使っていただき、災害時にも役立つという提案をしています」。売場の一部に防災商品コーナーはあるものの、その時々のお客様のニーズに合わせた商品で防災関連の売場を設置することもあるという。この夏は、上越市で断水になるかもしれないという状況になったため、12リットルの水タンクを中心にした売場を店内中央に作った。「ご年配の方から“タンクを運ぶための台車が欲しい”という声もあり、一緒に提案したところ、1週間に1~2個程しか売れないタンクが、断水関連の発表があった週は80個売れました。この商品も防災用というわけではなく、キャンプなどにも最適ですし、家の中に置いていても馴染むデザインなので、日常的に使っていただけます」。

また、無印良品で大人気のレトルトカレーも防災の役割を果たすという。「温めなくても食べられるように作っているので非常食にもなります。災害時は食べ慣れた味が恋しくなるため、普段から食べているものを備えておくという意味でも、日常で消費しながら補充していくローリングストックを推奨しています」。

無印良品が提案する防災グッズを集めた「くらしの備え。いつものもしも。」コーナー

無印良品が提案する防災グッズを集めた「くらしの備え。いつものもしも。」コーナー。避難時に最低限必要なグッズを入れた持ち出しセットや非常用トイレセット、食品、衛生用品など日常使いできるアイテムを取り揃えている。

備蓄おやつチョコようかん

美味しさと機能性でヒットしている「備蓄おやつチョコようかん」は、最長約5年保存が可能。

 

防災グッズコーナーとは別に、関連した商品売場を店内中央に設置

大容量の水タンクは持ち運べないリスクがあるため、女性でも運べる12ℓサイズを台車とともに提案

防災グッズコーナーとは別に、水タンク、非常用トイレ、ボディシート、歯みがきタブレットなど、渇水対策に関連した商品売場を店内中央に設置。大容量の水タンクは持ち運べないリスクがあるため、女性でも運べる12ℓサイズを台車とともに提案。

水タンクはスタッキングして台車で運べるため、高齢者にも喜ばれている。給水に便利な蛇口付き

水タンクはスタッキングして台車で運べるため、高齢者にも喜ばれている。給水に便利な蛇口付き。

 

楽しみながら防災を学ぶ「いつものもしもCARAVAN」

2020年には防災プロジェクトの一環として、「いつものもしもCARAVAN」が直江津でスタート。これは「地域とつながる・楽しく学べる」をコンセプトに、子どもから大人まで楽しく防災を学ぶことができる、地域一体型のイベントだ。「地域の課題を解決するために必要なこととして、弊社主催でこのCARAVANを行いたいということを、当店がオープンする時から上越市にお話しをさせていただいてスタートしました。今では全国で開催しています」。直江津店が毎年開催するCARAVANでは、避難所体験や焚き火等のアウトドア体験、商品の試食、はしご車搭乗体験などを、親子で楽しみながら防災を学べる形で用意している。過去には段ボールベッドやテントに一泊してもらう避難生活体験も実施した。「備えなければいけない」と押し付けるのではなく、避難所での楽しい過ごし方を提唱している。

「無印良品は商品のイメージが圧倒的に強いのですが、CARAVANを通して、こういう考え方で防災をはじめ地域活性化を進めているということを伝える、いい機会にもなっています」。

9月に行われた「ぼうさいこくたい2025in新潟」に合わせて、「いつものもしもCARAVAN」の拡大版を新潟市で開催。災害時における食とコミュニティについて、参加者が食事を囲みながら一緒に考える「MUJIつながる食堂」、アウトドア関連の企業から防災を学ぶ「アウトドアパーク」、防災に使える全国各地の特産品・保存食を販売する「全国つながる市」など、無印良品が提唱する「たのしく、つながり、そなえる防災」を新潟から全国に発信した。

防災イベント「いつものもしもCARAVAN」

住民、企業、行政が垣根なくつながり、地域全体の防災力向上を目指す防災イベント「いつものもしもCARAVAN」。過去には直江津屋台会館で段ボールベッドやテントに一泊してもらう避難生活体験も実施した。

 

商品開発を通じて地域の課題解決に貢献

さらに防災の取組を通して誕生したのが、直江津小学校と一緒に取り組んだ「シャークカレー」だ。きっかけは、同店が4年前から直江津小学校で防災の授業を行ってきたことが始まり。「無印良品のカレーが防災食になるということを勉強してもらう中で、自分たちでカレーを作りたいという声が上がり、弊社のカレーを製造している会社にご協力いただいてカレープロジェクトを立ち上げました。私たちが商品を企画・開発する際はその背景にあるストーリーを重視しており、直江津はサメを食べる文化があるので、シャークカレーのアイデアが生まれました。ただ売れる商品を作るというのではなく、未来を担う子どもたちと一緒に地域を考えていくことで地域の文化を大切にしたいという思いが一番にあります」。

防災を含め、地域の課題解決に今後も向き合っていきたいという加瀬総店長。「同じ災害が起きても、都会と地方では人々の暮らしの形式が違うので、対応も異なります。私たちはその土地で生活し、日々地域の方々と接しているからこそ課題やニーズが見えてくると考えており、無印良品の商品や活動を活かして解決につながる提案を行っていく。そのことが企業として行っていくべきことだと思います」。

これからも地域とともに歩みながら“いつものもしも”に備えるアイデアを発信し、地域の豊かな暮らしを支える店舗を目指していく。

シャークカレー

直江津小学校の5年生と一緒に約1年かけて商品づくりをした「シャークカレー」。児童たちが地域の食文化を学び、味・パッケージデザイン・価格まで考えた。開発においては商品の背景にあるストーリーや地域とのつながりを重視した直江津店のコンセプトに沿って進められている。

 

POINT

  • 用途を主張しない、日常的に使える商品をお客様のニーズに合わせて防災用に提案。
  • 地域活性化や課題解決を軸とした取組を通じて、暮らしを支える存在になる。
  • 楽しみながら防災を学び、暮らしの備えを体験するイベントを定期的に開催。

 

企業情報

株式会社良品計画 無印良品 直江津

上越市西本町3-8-8 直江津ショッピングセンター2F
TEL.025-520-7591
URL https://shop.muji.com/jp/naoetsu/

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