前回を上回る数多くのエントリーと、大変完成度の高い商品で審査会を迎えることができましたことは、ひとえに常日頃からの企画・試作・実現化に向けての開発投資をしっかりとなされてきた所以だと感謝しております。このコンペは今回で33回目になりますが、継続していくことで次年度の商品開発計画を喚起すると同時に、専門家からアドバイスを受けて完成度を高めていく仕組みが自治体の中でも卓越していると思います。本年度のニイガタIDSデザインコンペティションの傾向は、コロナ禍に学びそこを超えた「守りから攻め」に転じた動きが多く見られました。具体的には、自分たちの生産活動を一過性に終わらせないためにも、そこに正当な企画理由と意義を持たせていき、共感力を味方につけていくという考え方です。そのせいか、今年は地域における社会課題や地域創生に寄与する新しい提案が多かったように思います。これを企画開発して社会実装するわけですから、当然ユーザーである地域の方々からの支持をえられ、事業がサステナブルな流れになっていくわけです。そういった観点で全体を見直してみると、上位にランクインした商品には次のような5つの傾向がありましたので、その要素を分解してみました。
上位ランクイン商品 = 新しい提案 × 社会課題解決やQOLアップ × 社会実装 × 地域産業に貢献 × 価値と美
このような観点は次年度も継続されていくと思われますので、皆様の開発指針の一つとしてご参考になればと思います。
また、商品の販売でもご苦労されていると思いまして、商品のプロダクトデザインやサービスデザインだけでなく、商品や事業のブランディングをデザイナーとしっかり連携されていくことをお勧めいたします。商品名が素人すぎるものが多く見受けられました。読みにくく覚えにくいものも信頼性に欠け、販売に不利になりますのでご注意ください。それから、皆様は当事者で当たり前でも審査員やユーザーにとってはメリットが伝わりにくい商品がありますので、できるだけ比較による説明を入れてください。以前よりここが問題で・・・、通常の商品のバグがこう解決され・・・、などの写真比較説明はコンペ申請だけでなく実際の販売戦略でも大きな効果を発揮いたします。
生活市場へ向けた「新しい商品」、生活を支える「新しい仕組み」がニイガタにはたくさんあります。