【ニイガタIDSデザインコンペティションについて】
■第35回である今回のコンペは、前回同様に前年度を上回るエントリー数となり、また完成度についても市場実装レベルの甲乙つけがたい商品が多く並びました。多くの自治体のデザイン振興政策の中でも、エントリー数と質の向上を兼ねている事例は稀だと思います。
【時代に合わせた審査方針の見直し】
■今回の35回を迎えるにあたって、私たち審査委員とNICOで話し合い、IDSデザインコンペの審査方針を見直すことにいたしました。まずは「新潟発ブランド化」を支援するという目的を改めて大きく掲げました。
■そしてその実現に向け、審査会場では企業名を明示し、その企業が目指す姿を情報として共有しました。私たちを取り巻く市場に溢れる消費財がしのぎを削る中、モノだけでのブランド成立が難しくなってきたからです。企業がどこを目指しているのか、そのポリシーをどうやって告知しているのか、それを受け取るユーザーはどこを信頼し、その企業にどういった価値を見出しているのか、こういった背景にある価値観が商品力を後押ししていくという考え方に基づいています。
【審査方針変更の効果】
■今回のコンペでは、この方法にスイッチした効果が早速出てきたようです。ご出品いただいた皆様は、新しいエントリーシートの記入を通じ、モノだけではなく総合的なブランディング計画が必要と感じていただけたと思います。
■それゆえ、今回のコンペは、その商品を社会に送り込む意義が明確化され、単にモノの提案に終わらず、社会に与える影響力、それによって変わる地域社会といった流れに発展する企画デザインが多かったのだと思います。
【むすび】
■こういったメッセージ性の高い商品が市場投下できることは、新潟県の産業にとって非常に大きな経済効果になると思います。
■IDS大賞「つなぎと製造工程の新デザイン(みのりそば)」は、マーケティングも含めた、オーソドックスで隙のないリブランディング好事例として。準大賞「YAOCOS(ヤオコス)」はニッチトップブランドの好事例として。それぞれ、審査方針を見直した年度の受賞にふさわしいと感じます。新たな審査方針に対応し、舵を切って頂いた企業の皆様の日頃の努力に感謝いたします。
審査委員長
村田 智明
生活市場へ向けた「新しい商品」、生活を支える「新しい仕組み」がニイガタにはたくさんあります。