株式会社新和組は1964年創業で、土木工事を主体とする総合建設業を営む。数々の公共工事を手掛けてきたが、今年度東南アジアへ進出し、新たな事業に着手するという。これまでの経緯と進出のポイントを馬場専務取締役と太田取締役に伺った。
人とのつながりを大切に築き、東南アジア進出へ
株式会社新和組
専務取締役 馬場 大輔 氏/取締役 太田 寿 氏
東南アジアへの進出は利益より理念を追求した結果
株式会社新和組は施工職員54名、技術系職員16名、協力業者約40社300名からなる自社直営体制で高い機動力に定評がある総合建設会社。同社は東日本大震災の復興工事で県外へ進出した際、「被災地を見る中で『仕事の原点とは何か』と社長を中心に考えるようになった」と太田取締役。会社の利益は大切だが、本当に追求したいものは社員と家族の幸せや人の役に立ちたいというシンプルなもの。こうした部分を経営の表面に出していけないかと模索する中で、信頼するお客様から東南アジアへ進出しないかと誘われた。パズルがはまるように考えが合致し、「これなら人のための仕事ができる」と動き出したのだ。
浄水場やポンプ場の躯体、河川の護岸や橋梁、高速道路、港湾、下水道などの工事等に携わり、数多くの賞状や感謝状を受けている。「自分たちへの仕事の評価であり、これを見て次の仕事を頑張ろうと奮起しています」と太田取締役。
社員の生活環境も整え万全の体勢で進出へ
まずは社長や役員が先陣を切り現地を視察。東南アジアと一口に言っても各国の性質は様々だ。視察した国は泊まった五つ星ホテルでさえバスタブに湯を入れると赤、黄、白と毎日違う色になる。政情が不安な地域もある。お腹を壊すこともあるので抗生剤も欠かせない。
しかし、近代化も目まぐるしく「戦後と10年前の日本が入り乱れている不思議な感覚だった。この視察を通じて当社がやるべきことが明確になった」と太田取締役。同時にそのような場所に家庭を持つ社員を送るという責任も痛感し、住環境の準備以外にも、日本の家族との連絡手段や、日本のテレビ番組を視聴する環境なども十分に整えていった。
「今後の会社のあり方を考え抜いた末、社員を巻き込みながら経営理念を作り上げました。共に働く社員も募集中です」と馬場専務。
社員の意識改革を行い一体となって目標へ
社内では、社員と共に新しい経営理念を定め朝礼で唱和する活動を始めた。社員の意識を変革し、海外進出ができる体制になるまで4年掛かった。「創業以来、NOとは言わず難問に挑んできた。先人の仕事が今につながり、全員で良いものを造ろうという体質がある。挑戦し続けること、そして社長以外のリーダーも目標を根気よく言い続けることが大切」と馬場専務は語る。また県内企業に対し「新潟県民は出不精だが腰を上げるとすごい馬力がある。現場での評価も高い。攻めに行ってはどうか」と太田取締役はエールを送った。
東南アジアへ行きたいと20代の若手が手をあげている。目に見えて変わりゆく東南アジアを自分たちで造るのだ。「人のためになることがしたい」という原点から始まったこの事業。現地でも「人対人」の関係を築きながら受注を伸ばしていきたいという。
「今後は女性の技術チームも作り新たな展開を検討中です」と馬場専務。
「社長や役員自ら現地を確認する大切さは、県外進出の際に学んだ教訓の一つ。現地の生活環境を整えるのが一番大切です」と太田取締役。
ここがポイント
- 働くことの原点を問い、新たな経営理念を創設
- 4年の準備期間を経て海外進出の士気を高めた
- 会社と会社との付き合い、人と人のつながりを大切に築く
企業情報
株式会社新和組
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