信用金庫が伝統工芸をつなぐ。村上木彫堆朱店が地元鉄工所に事業承継

第三者承継 製造業 川村庚堂漆器店 川村 三樹

村上木彫堆朱は新潟県に17ある伝統工芸品の1つです。川村庚堂漆器店二代目の川村三樹さんは妻の和子さん、長男の將さんと親子3人で村上木彫堆朱の製造販売を行っています。 全国の物産展での売上が新型ウィルス禍以降に減少しており収益改善策とともに、三樹さんは將さんへの承継も検討する必要がでてきました。

事例概要

事業内容 村上木彫堆朱の製造販売
従業員数 3人
所在地 村上市片町5-7
支援内容 第三者承継の進め方、留意点に対するアドバイス
事業を譲り渡した人 川村庚堂漆器店 川村 三樹
事業を引き継いだ人 渡辺鉄工株式会社
事業承継までの期間 1年5カ月

伝統工芸の将来について信用金庫に相談

 

経営に関して不安のあった將さんは、日頃から経営改善などを相談していた村上信用金庫から事業承継についての提案を受けて、伝統工芸を守っていくために第三者への譲渡を選択しました。

信用金庫からの紹介により新規事業展開を考えていた地元の渡辺鉄工㈱と面談。当センターの専門家相談(無料)等の支援を受けて、令和7年4月に譲渡契約締結に至りました。

 

譲渡先である渡辺鉄工㈱ 渡邊社長の想い

 

地元でしか買えないものもあり、遠方から訪ねてくる方もいます。高額でも買っていただける方もいます。伝統工芸品である村上木彫堆朱には可能性があります。

渡邊社長は「これまでは県外の会社も視野にありましたが、やはり地元ですね。川村さん家族にはこれまで通り勤めていただいていますが、後継者を育てることも重要。将来的には地元を支える存在になりたい。」という。

過去の物産展出店データを分析し、需要のある関東地域向けには商品と価格の見直しなどを行い、ブランド価値向上に向けて既に動き出しています。

(左から)渡辺鉄工社長の渡邊信太郎さん、川村庚堂漆器店の川村 將さん、三樹さん、和子さん

 

手彫りで細かく装飾された麻の葉模様、多彩な顔料を幾重にも塗り重ねた表面を削ることにより浮かび上がる模様、川村さんの技術が光る。

 

※こちらの事例については、新潟日報にも記事が掲載されていますので、ぜひご覧ください。

 新潟日報朝刊2025年12月2日付 新潟日報社提供

 

 

担当者からのコメント

村上信用金庫様からの相談案件で、信用金庫内でマッチング、成約に至ったものです。センターでは事業承継までの流れや手続きの説明、センターが扱う専門家相談を活用し、随時、村上信用金庫様と連絡を取りながら課題解決のお手伝いをさせていただきました。
伝統工芸品であり新潟県無形文化財漆器である村上木彫堆朱を引継ぐに相応しい会社に引き継ぐことができました。

事業承継までの流れ

2023年11月
村上信用金庫、新潟県事業承継・引継ぎ支援センターが川村
三樹さんと事業承継について面談。
2024年1月
村上信用金庫が候補先である渡辺鉄工㈱に打診、前向きに検討。
2024年3月以降
トップ面談。課題点の擦り合わせ。村上信用金庫が進捗状況を把握しセンターと情報共有。
2024年11月
センター経由の専門家派遣制度(無料)を活用し税理士よりアドバイス等受ける。
2025年4月
事業譲渡契約の締結。