研究開発の必要性

研究開発の準備

闇雲に研究開発を進めても資金的に行き詰まったりしますので、成功確率を高めるためにも費用がかからない(=資金的なリスクが少ない)ものから適宜進めていきたいところです。

1.情報収集

ビジネス誌のほか、中小企業基盤整備機構やジェトロ等、国の支援機関のホームページにも今後の成長分野や公的な支援に関する情報がたくさん載っています。また、各種学会や大学・公設試験研究機関等による研究成果発表会・施設開放(見学会)への参加も、最新の技術動向の把握や将来の産学連携等を見据えた人脈形成には有効と思われます。

2.現状分析

基本的な現状分析としてSWOT分析(自社の強みと弱み、事業の機会と脅威を抽出する分析方法)があります。とはいえ、他社と比較することは結構難しいので、機械要素技術展などの大規模展示会で同業他社の技術レベルをたくさん見ておかれると分析がはかどります。また、①の情報収集によって業界動向や新技術に関する視野を広げておくことも有効と思われます。

3.戦略策定

SWOT分析で抽出した強みと機会を組み合わせて研究開発の方向性を出す段階です。どのお客さんに向けて、どんな便益を提供するために、どの技術を、いつまでに、どう磨くかを充分検討したうえで研究開発の方向性を打ち出し、社内外の研究開発関係者と意識の共有を図ります。

4.実施計画策定、体制構築

策定した戦略に基づき、具体的な課題(技術的な問題点等)を洗い出し、どのように達成するか計画を立て、人員の手当を行います。欲を言えば、研究開発全体を管理する専属の人材も欲しいところですが、実際は兼務されている方が多いと思われます。中長期的には、ものづくりアカデミーやMOT講座、中小企業大学校等を活用して人材の高度化を図ったり、大卒者や修士・博士課程修了者の採用も行えるとよさそうです。

5.研究開発資金の用意

使途の制約がない点で100%自己資金での研究開発が理想的ですが、難しい場合は公的な支援を活用します。公的支援には、大きく分けて補助事業と委託事業があり、各事業により資金使途・使用方法に制約があります。

  • 補助事業は、貴社の研究開発事業に対して公的資金が補助されるものです。事業費の全額または一部が支払われます。最近は事業費の1/2や2/3を補助するものが多いようです。
  • 委託事業は、国等の研究開発事業を貴社が代わりに実施するものです。事業費の全額が支払われるものが多いようです。

上記の順番はどちらかというと理想論的なモデルです。実際は客先からの要望(QCD向上、VA・VE提案等)に応えるためにいきなり研究開発を始める、といったパターンが多いかもしれません。

実務的なところはさておき、大きな流れとしては、グローバル競争という環境の中で、世界中のライバル達に対抗する競争力をつけるため、研究開発を行う必要性が年々高まっているものと考えられます。

そのような流れの中、国、県、NICOでも、研究開発に取り組まれる企業への支援を積極的に行っております。
当サイトをきっかけとして、1社でも多くの企業から研究開発へお取り組みいただければ幸いです。