活用事例

4面測定可能な高精度水平器の開発

技術力を駆使して開発された、4面全てで測定できる高精度水平器。
今後はデザインや気泡管の液体の色などを決定し、商品化を進める予定。
利用制度

平成22年度わざづくり支援助成金

企業情報

株式会社エビス

〒959-0202 燕市佐渡山7297番地
TEL.0256-92-5133 FAX.0256-92-6824

 

真似のできない高品質・高付加価値の商品開発を

水平・垂直・勾配を測定する各種水平器を主体に、各種気泡管、眼鏡(老眼用)・ルーペの企画・開発から製造、品質管理、配送まで一貫して行っている株式会社エビス。建築・土木工事や設備工事、新築住宅の検査など、さまざまな用途に応じて開発された同社の水平器は約200種類にも及び、国内ではナンバーワンのシェアを誇っている。

一方、「ホームセンターで販売されている商品の7~8割は海外製品です。その中で戦っていくためには、高品質・高付加価値の商品開発が必要です」と営業部の石田さんが語るように、近年は世界初の超薄型カードレベルを開発するなど、海外製品には真似ができないといわれる高精度な製品づくりに取り組んできた。さらに同社では、新たな挑戦のために平成22年度のわざづくり支援助成金に申請。承認を受け、同年6月に新製品の開発をスタートした。

加工精度を上げるためマシニングセンタを導入

今回チャレンジしたのは、世界初となる4面測定可能な高精度水平器。従来の水平器は測定できる面が限られていたが、同社が開発した新製品は4面全てで水平・垂直を測定できるので、本体を倒した状態でも立てた状態でも使用できる。また、建築・土木分野、配管工事など、業種によって使う水平器の種類も異なるが、この新製品は一つでいろいろな場面に対応できるため、業種に限定されない使い方ができるという。

開発の中で苦労したのは、部品の加工精度を上げることだった。一個一個の部品が高精度にできていないと、組み立てたときに設計通りの精度にならないのだ。当初は他の製品と同じようにプレスで加工を行っていたが、わずかな歪みでも精度に大きく影響するため、より精密な切削や穴あけなどの加工が一台でできるマシニングセンタを導入し、高精度加工技術により加工精度を上げることに成功した。

高精度という武器を活かし、さまざまな分野で期待

「精度を落とせば他でもできると思いますが、これだけの高精度を持った製品は真似できません」と丸山社長。高精度という最大の武器を活かし、今後は精密機械の設置や、風力・太陽光発電装置の設置用など、さまざまな分野での活躍が期待されている。

開発自体は昨年終了し、今は商品化へ向けた準備を進めている同社。現在もアジア、ヨーロッパ、オーストラリア、カナダなどに製品を輸出しているが、今後は「国内の市場は縮む一方なので、より海外に目を向けていく必要があるでしょう」と丸山社長は語る。世界市場を見据えた新製品がどのような形になって登場するのか、大いに期待したい。