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IoT活用事例インタビュー成長につながるIoT・IT活用は自社開発と試行錯誤がカギSSERPOC IN〒949-3114上越市大潟区上小船津浜361-4TEL.025-534-5588FAX.025-534-5582取締役 製造調達部長上野 政志 氏執行役員 新潟工場長 兼 製造企画室長小関 徹 氏「IoTも外部のエンジニアに頼めば2〜3週間で導入できますが、2〜3カ月かかっても自社でやることで社員たちの実になる。何か起きたときに自分たちで改良もできるし、バージョンアップを繰り返すことで生産技術も向上します」と語る上野取締役。06生産管理システムのメニュー画面は、幅広い年代の社員が使いやすいように操作が簡単でシンプルなデザインにした。担当する案件の現在の工程、作業時間などが数字で見えるため、どれくらい効率化ができたかも一目で分かる。「今後は生産設備の消耗状況などを分析したり、品質のデータ化などにもIoTを活用していきたいです」と話す小関工場長。3人必要だった作業を無人化した「マルチ溶接機」。溶接した金網を、ロボットを使って曲げ加工を行う。この設備も産業用ロボットのみ購入し、システムは自社内で構築した。 「自然とともに」を理念に自然環境を保全するための建設土木資材を開発・製造・販売する共和ハーモテック。同社は早くから生産現場の自動化・省力化を進めており、その一環としてIoTも導入し生産効率化を図っている。 「IoTに取り組むきっかけは、生産現場でIoTに挑戦するというテレビ番組を見たことでした。当社は15年前から生産管理システムを導入していますので、さらにIoTを結びつけた活用ができたら面白いと思ったのです」と語る上野取締役。そこで最初の取り組みとして選択したのが自動搬送装置(AGV)だった。 自動搬送装置の本体は、自由にカスタマイズできる低価格のAGVを購入。市販の超小型PCでプログラムを組み込んでいる。この500kgまで運べる装置を生産ラインに取り入れたことで、無人での工程間搬送が可能になった。トヨタL&FのAGV「キーカート」を購入し、自社用に改良した自動搬送装置。 同社の最大の特徴は、産業用ロボットを組み込んだ生産ラインの構築など、自動化対応の設備やシステムを可能な限り社内スタッフで開発していることだ。「システム開発のプロではありませんが、私や小関工場長をはじめ、大阪本社にいるITエンジニアの社員、装置を操作する実務社員などがチームとなって作り上げました」。 生産管理システムも改善を続けている。当初は生産現場と事務所に設置したパソコンで工程の進捗状況を確認していたが、スマホやタブレットで管理できる専用システムを開発し、4年前から現場、全営業社員が活用している。「スマホで工程管理から作業日誌まで簡単に入力でき履歴管理もできます」と小関工場長。リアルタイムで進捗状況と生産効率を把握し、情報を共有することは営業・提案活動にもプラスになったという。 ITやIoTを導入する上で「自分たちでできるだけやる」ということを一番意識したという上野取締役。これにより「自分が作ったモノが動く喜び」を感じ、社員の成長に繋がることが最大のメリットだという。「将来的には品質管理や設備管理のデータ収集から、AI管理に繋げていければと思います。今やっていることを信じて進んでいけば未来は切り拓かれると信じています」。 IT・IoT、そしてAI活用へと果敢に挑戦する同社。そこから生まれる社員のモチベーションとチーム力が、さらなる生産技術の進化へと繋がっている。◆外部のエンジニアに頼らず社内チームで取り組む◆自社の生産現場に合った設備を低価格で実現◆自社開発することでバージョンアップも容易にIoT活用のポイント共和ハーモテック株式会社生産現場の自動化・省力化をIoTで強化市販品を用い社内チームで自動搬送装置を開発自ら改善に取り組む姿勢でIoT導入に挑戦していく

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