NICOPress162
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123 INSSERPOCここがポイント10NARICの別棟ラボーナを開発拠点として利用。NARICに入居してから技術者2名を増員。基盤を作るところから実証実験、部品調達、さらにデザインまで自社で行う。左からComfis-R1、Comfis-R2、Comfis-W67自治体からの災害情報をFM放送局を介して受信し、自動的に起動。地域を限定して起動させることもできる。家の中に設置するときはFM放送局の職員が電波の入る場所を確認し、使い方も丁寧に説明する。FMながおかの代表も務める脇屋社長。「コミュニティ放送局を普及するために北海道から奄美大島まで全国各地に行き、緊急告知ラジオの有効性も伝えてきました。今は1つの放送局で4万台のラジオを起動できる地域もあります」。視覚障害者がラジオの電源位置や音量の調節が分かるように、点字で表示。災害弱者への細かい配慮が施されている。The key to vitalityパワーあふれる現場に潜入!ニイガタ元気企業防災用情報機器や防災放送システムなどの開発を行うワキヤ技研株式会社は、平成21年に設立。コミュニティFM放送と自社開発の通信技術を活かした画期的な製品を生み出し、着実に成長を続けている。FM放送波を使った災害情報伝達システムを発案信頼性の高い信号方式を独自に開発災害弱者にも対応する高機能を追求ワキヤ技研株式会社代表取締役社長 脇屋 雄介 氏〒940-2127 長岡市新産4丁目1-10 NARIC 別棟 ラボーナTEL.0258-86-8820 FAX.0258-86-8856URL http://wakiya-giken.com/コミュニティ放送を利用した緊急告知ラジオで「命を守る」中越地震の経験から自動起動の緊急告知ラジオを製作 ワキヤ技研は、災害時に防災情報を伝える「緊急告知ラジオ」と「緊急告知信号発生器」を開発するエンジニアカンパニー。緊急告知ラジオは平成28年度「Made in 新潟」新商品調達制度に認定されるなど、高い評価を受けている。 平成10年にコミュニティ放送局の“FMながおか”を設立した脇屋社長は、当初からコミュニティ放送は地域の防災に役立つと考え、FM放送波を使った災害情報伝達システムを提唱してきたが、周囲の反応は薄かった。そんな中、平成16年に中越地震が発生。災害を経験した脇屋社長は知人の会社に依頼し、災害時の緊急情報を受信して自動的に起動する緊急告知ラジオを製作する。「ところが実際に使ってみると誤作動も多く、起動性も良くなかった。そこで自分たちで作ろうと、技術者2人とともにワキヤ技研を設立したのです」。信頼性の高いComfis方式の製品が全国各地で導入 緊急告知ラジオの第一号にはDTMF方式という信号方式を使っていたが、起動に時間がかかるのが弱点だった。そこで同社が独自に開発したのが「Comfis(コムフィス)方式」だ。「DTMF方式では8秒かかっていたのが、Comfis方式だと0.5秒で起動します。最も信頼性が高い信号方式だと思います」。 全国瞬時警報システム「J-ALERT」や「緊急地震速報」にも対応する同社の緊急告知ラジオは、県内の市町村をはじめ県外の自治体で次々と導入が進んでいる。平成25年にはJICA事業に採択され、インドネシアで実証実験を行い注目された。また、屋外の拡声器や学校、工場などに設置し、放送装置を自動起動させて大人数に告知できる「構内緊急告知受信装置」も好評を得ている。災害情報を文章化する聴覚障害者向けの装置を開発 同社は事業の拡大に伴い、長岡市の推薦で平成26年にNICOのインキュベートセンターNARICに入居。平成29年には別棟ラボーナへ転居し、さらに高度化した製品の研究開発を進めている。同社の強みは経験豊富な少数精鋭の社員による、技術開発から工事施工まで手掛ける総合力。「最近では聴覚障害を持つ方でも緊急告知が分かるように、ラジオで受信した情報を文章化して伝える表示装置を開発しました。今後もこのComfis方式を使った新商品を開発し、全国に展開していきたい」。日本各地で大規模な自然災害が起こっている近年。「命を守る」という思いから、緊急情報の確実な伝達で社会に貢献する同社の今後に注目していきたい。活力カギの

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