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SSERPOC IN全ての人が起業家の心構えで仕事をする時代が到来する株式会社ビジネスバンクグループ代表取締役 浜口 隆則氏PROFILE数千人の起業家を支援してきた、起業の専門家。「幸福追求型の経営」や「経営の12分野」など、独自の経営論で日本全国の経営者にファンがいる。会計事務所、コンサルティング会社を経て、1997年に㈲ビジネスバンクを創業。起業家向けオフィス賃貸の「オープンオフィス」事業は、レンタルオフィスという新たな業界を生む。現在は起業専門会計事務所など、起業支援サービスを提供する複数の企業を経営し、各種支援サービスを提供している。 これからの世の中は、全ての人が起業家の心構えで仕事をするという流れでシフトしていくと考えられます。都内の大企業は副業を認めるようになってきましたし、自分で会社を作ることもやりやすくなった。社員であっても、そういう精神、考え方で仕事をしていく形に移行していくのではないでしょうか。 気をつけたいのは、「仕事ができるようになったから、起業してもやっていける」という感覚でいること。「仕事」は「経営」から言えば、全体における“部分”でしかありません。仕事の技量があっても、会社として運営するには営業や経理など、さまざまな業務がある。それを“全体最適”することが経営であるということを理解し、経営の全体像を学び続けることが大切です。 起業は難しい、ハードルがものすごく高いと思われがちですが、そうではありません。棒高跳びで例えると、運動能力がすごく高い人もいきなりやれば失敗する。起業も同じで、仕事ができるからといって無防備に飛ぶと、バーに引っかかって落ちてしまう。しかし、準備をすれば飛べるんです。だから、一度起業を経験して成功した人は、他の起業をしても大抵上手く進んでいます。成功のためには経営を知ること、訓練することが重要だということです。 私が1997年に長野でシェアオフィスの事業を始めた時、準備はしっかりしたにも関わらず、最初はお客様が集まりませんでした。いったいどんなビジネスか伝わらず、まずお客様を教育しなければならなかった。PDCAを回していくしかなく、方向性の合った仮説を立てるために、経営ですべきことを知ることは大切でした。 私はこれまで何千社という会社を見てきましたが、成功度を上げていくために、経営には「商品力」「営業力」「管理力」の3つの力が必要で、さらにそれを細分化して12の要素にまとめています。起業して成功し続けられない会社は、その要素のいくつかが偶然で成り立っている場合が多いです。もちろん最初から全部しっかり出来ている会社、経営者は少ない。極端に言えば、経営者はその何ひとつできなくてもいいのです。出来る仲間を作ればいいからです。 例えば、開発型の経営者に多いのが、作ったけれど売り方が分からないというパターンです。しかし、全体最適という観点から見たら、売ることは絶対に無くてはならないパーツですから、足りないなら最初から補うべき。私も売ることは全く苦手だったので、営業が得意な人をパートナーとして迎え入れました。 そして、起業にあたって、情熱はあった方がいいと思います。ロジカルに考えた戦略も成功しやすいと思いますが、起業して何をやっても成果が出ない時に、強い想いが無いと諦めてしまうんですね。高尚な気持ちでなくてもいい。自分が掲げたゴールを実現するとわくわくするからやりたい、ということでもいい。02常に変化を求められる現代のビジネス。年明けと共に、それぞれの決意を新たに、起業、新事業への挑戦を思い描く人も多いはずだ。そこで、自らも「日本の開業率アップ」を使命として創業し、起業家を支援している浜口氏に起業・新事業展開について話を伺った。仕事イコール経営ではない。経営の全体像を学ぶ意識を経営に必要な要素を知りピンチを乗り切る力をつける

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