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SSERPOC IN地域の食卓や暮らしぶりを掘り起こし︑ここだけの価値を発信大正大学 地域構想研究所 教授PROFILE新潟市出身。1982年、株式会社コスミック(現 夢みつけ隊(株))の創業期より参画。常務取締役・専務取締役の要職を経て、2005年(株)夢隊ファクトリー代表取締役。2004年「ものづくり研究所」設立、商品開発・販路支援・街づくりなどのコンサルティングをはじめ全国の地域資源のブランディングを手がける。(公財)にいがた産業創造機構アドバイザーを務める。 いま、消費者の間では“この地域にはこういう食文化があるのか”ということを理解していこうという動きが出ています。ネットを通して、あの地域のあれがおいしい、あの宿に行くとこういう旨いものが出る、といった細かな情報がたくさん集められるので、自分が購入するものを取捨選択するものさしが、とてもシビアになってきています。だからこそ、地域資源をもう一度掘り起こし、磨きなおすタイミングに来ているのだと思います。 一方、地域資源を見直そうとしても、地域で食されているものが当たり前すぎて、地元の人が魅力に気付いていないことがあります。それは新潟に限らず、全国どこでも同じです。「こんなにおいしいものがあるじゃないですか」といっても、それはお客様に出すようなものではないと言われてしまう。しかし、そういう日常の食事こそが、消費者が一番知りたいところだったりするのです。 まず大事なのは、地域の食卓、暮らしぶりです。何が生産され、普段の食卓でどう使われ、どんなふうに食べられてきたのか、という視点から掘り起こしをしたほうがいい。地元で昔から食べている料理をしっかり整理し、展開のヒントにする。地元で食されていないものは首都圏でも売れません。まずは地域の食卓に着目することが商品開発のポイントのひとつになります。 お土産品を開発する場合も多くありますが、その時重要なのは、お土産品と宿の料理、外の飲食店での料理のクオリティや伝えたいコンセプトを、ある程度統一していく必要があるということ。 旅行に行くと、必ずそこで夕食と朝食を食べますね。その時に、その土地の食との初めての出会いがあります。当たり前ですが、旅行者はそこに行かないと食べられないものを食べたい。ですから、まずは地元の食文化にフォーカスした食事を提供しなければなりません。雪国観光圏のA級グルメなどは、そこを徹底しているわけです。その土地のものを知り、美味しければ、帰りにお土産品にも買いたいという気になる。そこでのコンセプトの統一は業種を越えて地域全体で連携しなければ成り立たちません。02地域資源を活用した商品開発は、中小企業にとってオンリーワンを生み出す有効な手段である。しかし、取り組みが活発であるからこそ、「選ばれる商品」になるための付加価値が必要になってくる。全国の人を引き付けるような、その土地特有の食文化や歴史を活かした、そこにしかできないものづくりを実現するためには何が必要となるのか、大正大学地域構想研究所教授の北條氏に話を伺った。地元で親しまれていなければ首都圏でも売れない現在のニーズは「日常の食卓に並んでいるものを食べてみたい」北條 規 氏

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