NICOプレス Vol.156
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特集 海外展開マネジメント 海外展開を成長戦略につなげる事例インタビュー グローバルマーケットに挑戦する自社ブランドを中国市場へ輸出現地協力先と連携し個性派ツールで挑戦中国のベビー用品市場にSSERPOC IN〒959-1276 燕市小池3633-2TEL.0256-63-9101 FAX.0256-63-9100E-mail okabe@ginzado.ne.jpURL http://www.okabeyoshokki.co.jp代表取締役 岡部 高文 氏「契約書を交わして製造を始めたが、突然キャンセルされて多大な損害を受けるといった苦い経験もしました。でも相手を信じないと始まらないということもあります。なるべく安全にビジネスを進めるためにも、同じように見本市に出ている企業の皆さんとの横の連携や情報交換はとても大事です」と語る岡部社長。中国の展示会の様子。商品カタログのPDFにリンクしたQRコードを掲示し、バイヤーはここから情報を集める。日本からカタログを持っていく手間も省いている。離乳食用のベビースプーン鼻に当たる部分をカット「お口がみえるピッタンコップ」は透明で中身がよく見え、飲み口の形状から頭をそらせずに飲むことができるアイデア商品。05ポイント◆公的支援を活用し、ベビー用品専門見本市など現地展示会に参加◆WeChat(微信)で活発な情報交換、取引へつなげる交流を図る◆新潟県が委託しているコンサルティング会社のサービスを利用◆友人づきあいが出来る信頼のおける現地の協力者を確保海外での可能性を指摘され今後を見据えて挑戦開始 カトラリーを中心とした金属洋食器の製造販売を手掛ける株式会社岡部洋食器製作所。自社ブランド「TE to TE」で、口当たりの優しいシリコンスプーンやアイデアキッチングッズなども展開しており、シリコン製のベビー用スプーンや飲ませやすい形状のコップなどを中国や台湾などに輸出している。 海外市場に目を向けたのは、2014年に参加したギフトショーがきっかけ。「JETROの方から、この幼児向け商品は海外で可能性があると声をかけていただきました。国内市場は確実に冷えてきますし、日本製品は高くても個性があれば受け入れられると聞いて、挑戦を決めました」と岡部社長は振り返る。 JETRO主催の中国や台湾など5か所を回る商談会キャラバンに2年連続で参加し、少量でも売れたことで可能性を実感。また現地の通訳と親しくなり、友人もでき、営業もサポートしてもらえるようになったという。中国のビジネスはWeChatでスピーディーに進んでいく 中国の人とのコミュニケーションに必需と話すのが、中国版LINEの「WeChat」。「中国ではビジネスシーンでもWeChatが使われます。展示会などでもすぐに繋がれるように、名刺には必ずアカウントを載せています」。 また、中国の見本市に参加するときは、新潟県が委託しているコンサルティング会社「株式会社マイツ」による支援を活用。手間のかからない手続きでブース応対やアドバイス等の支援を受けられるため、費用的にも役立っているという。 また、昨年末からは中国の知り合いの会社を通して、商品を卸せる体制を作った。「中国との貿易には輸入貿易資格が必要ですが、それを持っていないお客様にはその会社から仕入れをしてもらうことで少量・短納期で供給できています」。商標登録の申請が通れば百貨店などでの販売が可能に 同社は現在、中国におけるブランドの商標登録の手続きを申請中だ。「偽物防止もありますが、それ以上に百貨店などで扱ってもらうためには必須条件です。さらに、中国はネット通販が拡大していますが、大手サイトで販売するには、やはり商標登録が必要です。申請が通ったら扱いたいと言ってくれているところもあるので、期待しています」。 今年も7月のベビー用品専門見本市を始め、NICOなどの支援を活用しながら、中国の見本市に3回程度出展する計画だ。今後は中国でも高齢化が進むと予想されることから、介護関連にもアプローチしていく。「ベトナムや韓国からも引き合いがあり、欧米にも販売したい。そのためにも、ブランド力を上げていきたいと思います」。岡部社長の挑戦は続いている。株式会社岡部洋食器製作所

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