NICOプレス Vol.156
3/12

特集 海外展開マネジメント 海外展開を成長戦略につなげるSSERPOC0 IN03ポイント◆社長1人や担当者1人で抱え込まず、早期タイミングで公的支援機関などへ相談し、進出の目的や現状ある課題を明確にする。◆商談会や視察、進出企業との連携などを通じて現地のパートナー、サポーターを見つける。◆社員の待遇問題での失敗例は多くある。進出先の国の言葉、民族、宗教、習慣を調べ、尊重する気持ちを持つ。◆事前準備や調査を徹底すること。リスク回避のための貿易保険などの費用を惜しまない。輸出や投資リスクには貿易保険を掛けるなどの対処法があります。そこでわずかな費用を惜しむと、後で取り返しのつかないことにもなります。 製造拠点を海外につくる場合は、現地に行ってから人事、労務、税務関連の問題に直面するケースが多いです。中小企業の場合、工場長だけを現地に出し、ひとりで全てを背負うケースもありますが、これはかなりの負担です。総務関係を現地でアウトソースすることも考えた方がいいでしょう。 海外展開にあたって、相談相手もなく何から始めればいいかわからないという場合は、NICOを始めとする公的支援機関の支援をぜひ活用すべきです。特に新潟県の支援施策は非常に充実しています。思いついた段階でまずは一度相談に来ていただければ、ヒントを得られると思います。さらにジェトロや商工会議所でも話を聞き、一番参考になったアドバイスを取り入れる。相性もありますから、いつもそう勧めています。 新潟の企業の優れた技術や製品を欲しがっている海外バイヤーはたくさんいます。この時代だからこそ、将来を見据えた目的と計画を持って海外市場へ挑戦して欲しいと思います。は眉唾もののことも多く、しっかり相手を見極めることが必要です。 海外技能実習生を育て、自国に帰った後も支援をし、事業所を立ち上げるというやり方も成功の確率が高いです。ベトナムやインドネシアにはその成功事例がたくさんありますね。 もうひとつ絶対に必要なのは、「マーケティングは自社でやる」ということ。現地調査ではその国の「におい」や「香り」、「言葉」をぜひ肌で感じてほしいです。市場調査を念入りにして、確認、確証を重ねていけば、成功率は上がります。 また、海外の見本市や展示会に出展するなら、国内のそれと同じように、しっかり数値目標を立てて準備をする。事前準備で7〜8割は決まります。せっNICO事業アドバイザー(国際ビジネス支援)PROFILE長岡市生まれ。大学卒業後、大手総合商社に34年間在籍し、大半を海外営業部門にてアジア各国向けの輸出業務三国間取引を中心に携わる。中国駐在時代には国内取引に加え、プラント建設・新規案件発掘等も担当。また、人事・労務管理、人材育成などにも精通。AIBA認定貿易アドバイザー資格保有。香港・上海・広州での駐在経験は通算17年に及び、アジア各国への出張は多数を超え、積極的に日本の中小企業の販路拡大に注力する。かく出展したのに、現地の代理店に任せているだけでは事は進みません。きちんと戦略を練って参加することで国際ビジネスにつながるのです。 海外との取引では、相手の信用調査も重要です。「商品をすぐ売りたいから広告宣伝費を1万ドル送って」と言われ、送ってしまったらなしのつぶて、という相談も実際多いです。 まずは「確認をとる」「コミュニケーションをとる」「記録をとる」という「3つのとる」を確実に行ってください。また、出典:平成29年度新潟県輸出入状況・海外進出状況調査報告書(新潟県産業労働観光部)●平成29年の進出国別では、1位が「中国」(92 件)、続いて「アメリカ」と「タイ」(各20 件)、その後に「ベトナム」「台湾」 「マレーシア」「韓国」の順となっている。[新潟県の海外進出状況] 進出企業数・進出件数の推移(平成16年度〜平成29年度調査)25020015010050170件168件165件152件98社96社94社88社H16.3H17.3H18.3H19.3H20.3H21.3H22.3H23.3H24.3H25.3H26.3H27.3H28.3H29.3172件157件159件166件161件97社91社93社92社91社■ 進出企業数(社) ━● 進出件数(件)227件228件204件199件185件95社96社97社100社103社アイデア段階で専門家へ相談を公的支援はぜひ活用すべし田辺 良則氏

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る