NICOプレス Vol.156
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SSERPOC IN02国内の需要減少や産業構造の変化などに直面するなか、拡大する海外市場に活路を見出す県内企業も増えている。挑戦を確実な成長とするために、必要なことは何だろうか。ここでは、商社での海外勤務経験をもとに、NICOで海外展開のアドバイザーを務める田辺氏にグローバル市場の現状や、海外展開に取り組む際に必要なポイントなどについて、話を伺った。 以前は海外展開というと製造業が圧倒的に多かったのですが、最近はサービス・物販業が増え、比率でいうと五分五分という感覚です。進出先は、やはりASEANが多いです。 製造業の場合、昔はアジアで作ったものを日本に持ち帰ってくるスタイルでしたが、今は作って現地で販売するか、経済連携を活用して第三国に売るという形が主流になってきました。地域ではベトナムやタイが人気です。南ベトナムに進出した鋼板加工を手掛ける中小企業は、日本に居たら取引できないような欧州の大手企業からも仕事の話をもらえるようになったと喜んでいる。そういう事例は多いです。 物販やサービスはASEANのなかでも先進と言われる香港やシンガポール、台湾、韓国、欧米への進出が増えています。業種としては化粧品販売やエステなどが多く、いま日本で手掛けているものが、そのまま海外でも通用するだろうかといった相談が多いです。 よく、海外に製造拠点を置くと、産業の空洞化が懸念されるなどと言われますが、そうではない。むしろ海外展開に成功している企業は国内での事業も盛況です。 ASEANに低廉なコストだけを期待するのは間違っていて、今後各国の経済水準は確実に上がります。インドネシアとベトナムは人気が沸騰し、地価も人件費も上がりました。加えて、両国とも現地調達が進んでいないので、原材料を運ばなければならず、中小企業にとってはハードルの高い国になってきました。 一方、マレーシアやフィリピンは安定した経済基盤を持っていて地価や労賃の急騰はありません。また、マレーシアは日本や韓国を手本にしようという政策が功を奏して、航空機や医療機器を手掛けるほど工業レベルが高く、業種によっては魅力ある場所だと思います。 ASEAN10ヵ国とひとくくりにしますが、民族も宗教も言葉も習慣もちがうので、それを尊重し、個別に対応しなければいけません。同じことは欧米諸国にも言えます。 海外展開というのはある意味、宝くじを買うのと同じです。買っても当たるとは限りませんが、買わなければ当たりません。製品やサービスに自信があるなら、進出する欲を持つことは大切です。宝くじとの違いは、買って結果を待つのではなく、そのための準備、調査をしなければならないこと。それをしっかり行う企業は、遠回りしているように見えても成功しています。また、結果に関わらず海外市場を知る経験だけでも財産になります。それを次の戦略へと繋げることが、海外展開成功への第一歩だと思います。 海外展開を成功させるには、とにかく事前準備が重要です。なかでも一番欠かせないのが「現地パートナーを見つける」こと。まずは日本の展示会に来場する海外バイヤーを大切にするといいと思います。独占販売権を求めてくる、販売代理店になると言い寄ってくるところ海外に製造拠点を置くことが国内空洞化という訳ではないASEANも各国で事情が違う現地の状況を知ることが重要現地パートナーを持つことと自分でマーケティングを行うこと新潟の優れた技術、製品を求める市場は世界に広がっている

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