NICOプレス Vol.155
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辛口シリーズSSERPOC IN“気さくに味わう”をテーマにしたカラーボトルシリーズや、“こだわり”をテーマにした辛口シリーズなど、消費者がより商品を選びやすいよう、酒の特徴や購買層を考慮したデザインに仕上げた。そうしたコンセプトによるシリーズ展開は、商品の認知度アップと販売のしやすさにもつながったという。 06〒959-4402 東蒲原郡阿賀町津川46TEL.0254-92-3511 FAX.0254-92-5166E-mail info@kirinzan.co.jpURL http://kirinzan.co.jp/「ペントアワード2017」でプラチナ賞を受賞した「紅葉 金」は、20年以上熟成させた最高級酒。金色の葉を一枚配したラベルが印象的で、スタイリッシュでありながら伝統と高級感のあるイメージを表現している。今回の件に限らず、制作に関わる際は、デザインが機能することと、デザイナーのひとりよがりにならないよう、お客様の考えに寄り添っていることを心がけています。『紅葉 金』は、もともとの『紅葉』のイメージをしっかり踏襲しつつの作業でしたが、どんな可能性があるのか?あらゆる方法を模索し、さらに紙や印刷の質感など細かい部分に気を遣いました。今回の受賞をうけて、商品の本質を表現するシンプルなデザインの強さを改めて実感しました。新潟の良いものが全国・世界へ少しでも知ってもらえたら嬉しいです。「社員だけで仕事をしていると型にはまった考え方になりがちですが、石川氏は私たちとは違う視点で麒麟山酒造を見てくれるので、時には鋭いご指摘を受けることもあります。そういう点でも非常に信頼してお仕事をさせていただいています」と話す向田氏。四季酒 2018麒麟山 春酒カラーボトルシリーズピンクボトル吟醸共に歩み・育てるビジネス提案の際に心がけたポイント株式会社フレーム 代表取締役石川 竜太 氏営業部 販促企画担当リーダーデザイナーより商品のデザインやブランディングを一から見直し 1843年創業の麒麟山酒造株式会社は、地元の米と水を原料に、飲み飽きしない淡麗辛口の日本酒を追求している蔵元。現在パッケージのデザインは、新潟市のデザイン事務所・フレームが手がけている。丹精こめて作り上げる商品の魅力を消費者にどう伝えるか、試行錯誤しながらブランドを育ててきた。 「フレーム代表の石川さんが独立する前からのお付き合いで、20年近くお願いしています。弊社にとってパートナーのような存在です」と語る、販促企画担当の向田氏。現社長が就任した2006年頃は、ボトルやラベルのロゴなどに統一感がなく、同じ会社の商品というのが分かりにくかったことから、同社は石川氏とともにデザインやブランディングを一から見直してきたという。コンセプトを明確にすることからデザインが始まる 「デザインの打ち合わせは、私たちがこの商品で何を伝えたいのか、どんな人に買っていただきたいかなどを細かくお伝えすることから始まります」。例えば、酒の個性を色で表現したカラーボトルシリーズの一つ、ピンクボトルは、若い世代や女性が飲みやすい、やさしい味わいの酒を開発するというコンセプトが始まり。「その個性を表現するにはピンクがいいだろうと考え、石川氏と一緒に何度も色の検討を重ねて作り上げました」。 また、四季酒という季節限定酒は毎年ラベルのデザインを変えて展開。日本酒をもっと気軽に買ってほしいというコンセプトから、季節感のある目を惹くデザインを意識している。世界的なデザインコンペで最高位を受賞 昨年は同社の長期熟成吟醸原酒『紅葉 金』が、世界的なパッケージデザインコンペティション「ペントアワード2017」で、飲料部門最高位のプラチナ賞を受賞。メディアや顧客からの反響も大きく、改めてデザインの重要性を感じたという。 「石川氏は麒麟山らしさとか、何のためにこの酒を造るのかというのを常に考えた上でデザインし、冒険もしてくれる。社員のような感覚を持ちつつ、外からの目線で見てくださるので、私たちも毎回新しい発見や魅力を感じることができます」。 近年は商品のカテゴリーを整理し、シリーズの統一感を図るデザインリニューアルとテーマ設定により、商品特徴をより明確に打ち出す形ができた。175年という伝統、長年愛される味と品質を守りながらも、今の時代に即したブランドづくりへ常に新しい挑戦を続けている。向田 絵梨子 氏企業 ×デザイナー麒麟山酒造株式会社麒麟山ブランドをデザインで表現する大切なパートナー
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