NICOプレス Vol.154
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SSERPOC INロボットのアシストで多様な働き方へと進化する未来初めてロボットを導入したい、さらに高度なロボットを利用したいという方へ、ロボット活用事例検索や、ロボットシステムインテグレータの検索、導入に関する相談など、さまざまな分野におけるロボット導入の情報が掲載されています。ロボット導入事例やサポート情報はこちら!ロボット活用ナビ http://www.robo-navi.com/一般社団法人日本ロボット工業会(JARA)専務理事PROFILE1979年東京大学工学部卒、通商産業省入省。1991年南カリフォルニア大学留学。帰国後、(財)国際超電導産業技術センター、通商産業省産業政策局などを経て、日本貿易振興会ハンブルク・センター、国土交通省などの要職を務める。2001年東京工業大学 フロンティア創造共同研究センター教授。2004年(独)産業技術総合研究所 技術情報部門長、2006年日本貿易振興機構 ウィーン・センター所長を務める。2009年経済産業省を退官し、一般社団法人日本ロボット工業会の専務理事に就任。 産業用ロボットの開発の立ち上がり期である1970年代当時は、人がやりたくない、人にやらせたくない作業、いわゆる3Kと呼ばれた作業環境の現場でロボットを使いたいという目的で導入が増えていきました。導入が早かったのは、自動車の塗装・溶接の現場です。機械化、自動化にあたっては専用機でもいいのですが、ロボットはフレキシビリティが高く、動きが単純ではない塗装・溶接の作業には、ロボットの汎用性が役に立つことから、導入が早かったのだと思います。 その考え方はいまも基本的には変わっていませんが、加えて近年の人材不足(図A)を受けて、ロボットの出番が増えてきた、あるいは期待値が高くなってきました。また、障害などのハンディキャップがある人や、力の弱い女性などをサポートするという面でのニーズも高まってきています。 最近は政府もロボットの社会的普及を加速させていこうということで、「ロボット新戦略」施策を打ち出しており、ロボット導入実証事業や、ロボットシステムインテグレータの育成事業などが行われています。 導入実績としては、自動車やエレクトロニクス関連を中心とした産業用、それに関連した物流から普及が進んでいます。また最近は、組立、パッケージング、ピッキングと呼ばれる作業工程にも導入が始まりました。箱型の菓子や薬品などの工場に採用されています。これは新しいタイプのロボットが出てきたことによる変化です。 このようにロボットが進化し、新たなアプリケーションが広がっている理由のひとつは、各種センサーの性能が高まり、しかも安くなってきた点が挙げられます。センサーからロボットが得た情報を分析し、自分がやるべき動作を自ら判断することが出来るようになってきました。 こうした人の五感にあたるセンサーの開発は、とても重要です。モノを掴んだりするには、触覚センサーや力覚センサーを使っています。これらのセンサーによって、自分が持っているもの、持とうとしているものを判断し、それに合わせた力の入れ方ができると、扱えるものが増えます。また、人と接触したとき、接触しそうになったときにどう対応するかも、それらでコントロールしています。今後、センサーの開発がさらに進めば、ロボットの性能と同時に安全性も高められることになります。 ロボットを導入するとき、考え違いをしてはいけないのは「ロボットは人の置き換えにはなれない」ということです。例えば、3人で担当していた工程で、一人減ってしまい、ロボットを入れようとなっ02製造業での人手不足が大きな課題となるなか、生産性の維持や効率アップの方法のひとつとして、ロボット導入が注目されている。技術革新と共にロボットの可能性は広がり、この先中小企業にとっても少しずつ身近なものになっていくだろう。そこで、国内のロボット産業の振興、普及に取り組む一般社団法人日本ロボット工業会の冨士原専務理事に、ロボット活用の現状や課題、導入における注意点などについて話を伺った。最初は厳しい作業環境から人を開放することが目的センサーの進化によってロボットの性能は飛躍するロボットは人の代わりにはなれないということが大前提冨士原 寛氏

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